個人の家計簿における複式簿記の活用

By 林耕平
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12年前に最初の会社を立ち上げて以来ずっと、会社の経理だけでなく個人の家計簿も複式簿記で記帳をしています。

この話をすると、家計簿は法律で青色申告の義務があるわけでもないのに、なぜそんなことをするのかと大抵の人は聞いてきます。複式簿記と聞くだけでとても面倒臭いものと敬遠されがちですが、慣れてしまえば一般の家計簿で使われている単式簿記と変わらない時間で入力出来ますし、以下のようなたくさんのメリットがあります。

自身の純資産の把握

自分の金融資産が本当にいくらあるのかを知りたいなら、銀行口座の貯蓄残高を確認するだけでは不十分です。銀行、証券口座や不動産などの資産から、クレジットカード支払い残高、学生ローン、住宅ローン、未払いの税金、未払いの国民年金などの負債を引いて初めて、自身の純資産額を知ることが出来ます。複式簿記で家計簿をつけていれば、ボタンクリック一つで貸借対照表を作成出来、そこに記載されている純資産額を確認することで簡単に自身の純資産額を確認することが出来ます。

投資リスクの管理

上場株、債券、投資信託などの保有金融商品(もし自分で商売をやっているなら会社の資本金も)の合計額と、自身の純資産額を比較したときの比率を確認することで、リスクを取りすぎているかどうかを確認することが出来ます。もしその割合が100%に近いか越えているようだったら、少し金融商品を現金化してマーケット暴落や仕事を失うといったようなイベントに備えるなど、リスク管理が貸借対照表を使うことで容易になります。

経費精算の残高管理

自身のお金で会社の経費を立て替えた場合、後で経費精算をする必要があります。 そのような取引を個人の帳簿でクレジットカード(負債項目)と会社経費立て替え(資産項目)といった仕訳をすることで、経費精算の申告漏れを防いだり、給与と一緒に振込があった場合に消し込みをすることが出来ます。

ビジネス・会計スキルの向上

簿記のコンセプトを理解し、損益計算書や貸借対照表などの決算書類を読めるようになることは、現代のビジネスパーソンとして最も重要なスキルの一つです。経理部で働いた経験がなくても、自分の家計簿の記帳に複式簿記を毎日使うことで基本的な会計スキルが自然と身につくようになります。損益計算書を家計の月次収支、貸借対照表を純家計資産の確認に使うことに慣れると、会社の決算書を読み解くことも簡単になってきます。

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複式簿記を使って家計簿を管理することは、自分自身を一つのビジネスと見なして管理することにも繋がります。自分自身というある意味一番大切なビジネスをよりよく経営していくためにも、複式簿記での家計簿にぜひチャレンジしてみることをお勧めします。