簿記初級 - 貸借対照表
貸借対照表(英語のBalance Sheetを略してBSと呼ばれます)は、ある特定の日付時点での財務状態を表示するレポートです(例:3/31時点での貸借対照表)。
個人事業主か法人かにかかわらず、事業を営むには資金が必要です。貸借対照表は、資金をどこから調達して、どこに使っているかを表すのに使われます。
貸借対照表の3つの要素:資産、負債、純資産と左右対照性
貸借対照表は、以下のような形をしています。
資産 | 負債 |
純資産 |
左右それぞれの金額は必ず一致しなければならなく、そのことを以下の式で表します。
資産 = 負債 + 純資産
簡単な式ですが、一旦立ち止まり意味を考えると、ただ暗記するよりずっと理解が深まります。
なぜこの等式が常に成立するかと言うと、調達した資金(負債と純資産)は必ずどこか(資産)に使われなければならないからです。例えば銀行からお金を借りたとして(負債)、もしそのまま銀行預金(資産)に置いておけば、借りた金額と銀行口座の残高は一致します。もし借りたお金の一部を備品(資産)の購入に当てたとしても、借りた金額と、備品代金と銀行口座残高の合計額は一致します。これは、資金の調達元を銀行負債ではなく、資本金(純資産: 例:オーナー社長の貯金を元手に会社を始める等)にしても同様です。
例として、Cagameeで作成した貸借対照表を見てみます。
この貸借対照表では資産、負債、純資産と縦並びのフォーマットになっていますが、左右に配置されている場合と変わりはありません。一番下の繰越利益剰余金は今季の分が純資産に未計上のため、別途表示されていますが、実際は純資産の一部です。
上記の表のように、資産の金額(2,805,000)は負債(160,000)と純資産(2,370,000 + 275,000)の合計とぴったり一致しています。
また、11/30という日付が表の上に記載されている通り、その日の終わりにおける瞬間的な財務状態を示しています。
貸借対照表という名称の意味
ところで、貸借対照表はなぜそう呼ばれるのでしょうか?何気なく会話の中で使っていると言葉の起源や意味合いを忘れてしまいがちですが、ここで立ち止まって考えてみましょう。
最初の2文字は貸借ですから、会計上の貸方と借方のことです。会計では、一般的な意味合いのお金の貸し借りという意味ではなく、貸方は右側、借方は左側という意味で使われます。すなわち、ここでの貸方は貸借対照表の右側である負債と純資産のことを指しています。同様に、ここでの借方は貸借対照表の左側である資産のことを指しています。
また、次の2文字の「対照」は2つの物を比べるという意味合いです。
つまり、貸借対照表は、貸方と借方を比べる表、資産を負債と純資産に照らし合わせて比べる表という意味になります。名は体を表すと言いますが、例えば運転資金は十分にあるかの財務分析を貸借対照表の左右の科目を比較して行うことを考えると、この名称は貸借対照表の性質や用途を実に良く表しています(ちなみに英語ではバランスシートと呼ばれ、左右がバランスする、釣り合う表といったニュアンスになっています)。
理解を深めるため、3つのカテゴリーそれぞれにどのような勘定科目が含まれるか、具体例を見てみます。
資産
資産は事業を営むために会社が物理的に保有していたり、権利を持っているものです。
資産勘定科目の例
- 現金: 紙幣、硬貨
- 銀行口座: 当座預金、普通預金
- 売掛金: 顧客から支払い予定の金額
- 在庫:商品等
- 備品:PC、プリンター等
負債
負債は、債権者に対して自社が支払わなければならないものです。
負債勘定科目の例
- 買掛金: 仕入先に支払わなければならない金額
- 未払給与: 従業員に支払わなければならない確定した給与
- 短期借入金: 銀行から借りて返済しなければならない金額
- 未払税金: 政府に払わなければならない税金
純資産
純資産は、会社の所有者が会社に対して有している権利の額です。 前述の式を変形した、純資産 = 資産 - 負債という式でも求めることが出来ます。 この式は純資産の意味合いを良く表しており、仮に資産を全て現金化して債権者に負債を支払った後、会社の所有者に分配出来る残りの金額ということになります。
純資産勘定科目の例
- 資本金: 株主など、会社のオーナーが会社に投資した額
- 繰越利益剰余金: これまで事業で得た累計利益
まとめ
貸借対照表について覚えておくべき項目をまとめると、以下のようになります。
- 貸借対照表は特定の日における瞬間的な財務状態を表したものである。
- 資産 = 負債 + 純資産という式は常に成立しなければならない。